S&W M10 ミリタリーポリス/ブルバレル   コクサイ   
ガス/ライブ・カートリッジ式
M10実銃


※このページの本文は、2003年4月19日に作成してWeb上にアップしたテキストです。

<実銃データ>
(4インチモデル)
口  径:.38Spl.(9×29mm)
全  長:236mm
銃身長:102mmブルバレル
重  量:950g
初 速:376m/sec-394J(弾丸10.2g)

クリックすると大きくなります <時代のさきがけ-S&W>
S&W社は米国のホーレイ・スミスとダニエル・ウエッソンが西部開拓時代の1854年に設立した会社で、銃砲の歴史の中で画期的なあることで大成功を収めた会社である。
それまでの銃砲は、弾丸と発射薬と発火薬は別々に装填しており、極めてリロードに時間のかかるものだった。
1836年にフランス人E・ルフォーショットはそれまでの構造とまったく異なるピンファイア(ピン打ち式)の「金属薬莢」というものを考案した。幕末に日本に輸入されたピンファイア弾の銃器は、その形状から『蟹目打ち』などと呼ばれた。
1847年、同じくフランス人のフロベールは、これをさらに発展させて、リムファイア(縁打ち式)薬莢を発明した。スミスとウエッソンはS&W社設立以前にこの特許を買い取っていた。
そして、リボルバー(回転式拳銃)については、S&W社は1855年にローリン・ホワイトの特許をS&W社が買い取り、3年後の1858年に世界初の金属薬莢リボルバーを完成させ、回転式拳銃で先行していたコルト社のシェアを奪取していく。
S&Wの金属薬莢式のリボルバーはその後の回転式拳銃の流れを完全に変えてしまった。金属薬莢は現在でも銃の弾薬の主流となっているのは周知の事実だ。
S&W社というのは、様々な世界で初めての発明を即座に製品化する会社である。
主なものを挙げてみよう。
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1.1858年、金属薬莢リボルバーNo.1発表
2.1894年、ソリッド・フレームのスイングアウト式リボルバー採用
3.1896年、ダブル・アクション・スイングアウト・リボルバー採用
4.1934年、.357マグナム弾完成-採用
5.1955年、.44マグナム弾完成-採用
6.1965年、リボルバーのステンレス化を完成-採用

以上、知りうる限りざっと挙げただけでも、新機構の採用が早い。
しかも、そのどれもが現代に続く銃砲史の流れを決定付ける発明ばかりだ。先見の明があるのだろう。
ダブルアクション・スイングアウト機構自体は、1889年にコルトが先行してM1889として.38口径のネービーを発表しているが、実用化という面で普及させたのはS&Wの功績だろう。
金属薬莢についても、早くから目をつけ、フランス人からパテント権利を買い取って市場を独占しており、そのため、南北戦争時代に他メーカーは金属薬莢の拳銃が作れなかった。
コルトもレミントンもパーカッション式の拳銃を金属薬莢モデルに改造したコンバージョンモデルでその場を凌ぐしかなかったのだった。
「なんだよ。薬莢なんて桶狭間のとき信長が『早合(はやごう)』を発明したじゃないか」などと言わないで欲しい。「早合」は確かに装填時間を短縮するために薬莢の原理と同じく弾頭と発射薬を一つに和紙で包んだものであるが、産業革命以前と以降の生産品を単純比較することは、それ自体意味をなさないことだ。

新規性だけではない。
S&Wが作る銃は、仕上げの入念さ、加工精度の正確さ、命中率の良さにおいてCOLTの追随を許さない。
これは現在に至るまで決定的にそうなのだ。
COLTリボルバーの場合は、シリアルナンバーが合わない部品は部品としての互換性がなく銃に取り付けられなかったりする。S.A.A.がその典型例だ。
最近でこそCOLTガバメントを特種物としてS&Wが製作することがあるが、もし仮にS&W社が製造するS.A.A.ピースメーカーがあるとするならば、私なら迷わずにそれを選ぶ。
オートにおいてもS&Wの製品は間違いがない。
加工精度と品質のすべてにおいて、COLTはS&Wとは比べ物にならないのだ。
COLTがS&Wに勝っている点は、その構造の設計とブルーイングの表面処理技術においてのみである。
いや、軍部への採用を巡る営業手腕は、COLTの方がS&Wよりも断然勝っているようだ。
これは、「雑で武骨」なCOLTの銃と「繊細で折り目正しい」S&Wの銃、という銃自体のキャラクタと企業の営業戦略とは必ずしも合致した関係ではない、ということを表していて面白い。
銃のキャラクタとしては、乱暴な扱いにはCOLTの方が向いているが、規定水準以上の精度の製品を選ぶならばS&Wという図式が成り立つ。
これは、1873年の米軍制式銃トライアルでS&WモデルNo.3がピースメーカーに遅れを取ったことを特徴付けるひとつの理由でもある。
乱暴に扱われたり泥水を被ったりすることが想定しにくい街中での治安維持にはS&Wはもってこいの性格なのである。
こうしたことは各国の国家機関での採用状況を見ても、「軍用銃のCOLT」と「警察銃のS&W」という特色にも現れている。
日本警察も最近は制式銃を国産からS&Wのリボルバーとオートへとシフトしつつある。

<S&W M10>
S&W M10・ミリタリーポリスは、そのナンバーが示す通り、米国S&W(スミス・アンド・ウエッソン)社のモデルNo.10=10作目の銃である。発表は1899年で1900年から生産が開始された。
ちなみに同社のモデルNo.1リボルバーは幕末の志士坂本龍馬の愛用銃でもある(正確には龍馬の拳銃は1.5バージョン。No.1が.22口径であるのに対し、強力型の.32口径版がNo.2発表までの中間機種として製作された)。
龍馬は1866年1月24日丑の刻、京都伏見の寺田屋に滞在中を幕吏に踏み込まれ、S&Wを発射して捕り方1名を射殺している。(詳しくは別項「S&W No.2」参照)

M10は1900年の発売以来、現在に至るまで実に1世紀を越えて生産され続けている超ロング・セラーである。
1900年の発売以降、1940年までに7回モデルチェンジされた。第二次大戦後からは、1959年にヘビーバレル(ブルバレル)が装着されM10-1とコードされる。
以降、1961年にM10-2、M10-3、62年にM10-4、M10-5、M10-6・・・とマイナーチェンジ毎に附属No.が付与されるが、モデルNo.はM10名称のままで現在まで販売されている。
M10ミリタリーポリスはS&W社Kフレームを代表する息の長いモデルである。
S&Wには小型のものから順にJ-K-L-Nのフレームが揃っている。
各フレームの代表的なモデルを列挙すると以下の通りだ。

Jフレーム M36 チーフズ・スペシャル
Kフレーム M10 ミリタリー&ポリス
Lフレーム M586 .357ディスティングイッシュド・コンバット・マグナム
Nフレーム M29 .44マグナム

M19コンバットマグナム(実銃) 面白ネタとしては、軽量のKフレームに強力な.357マグナムを組み込んだM19.357コンバット・マグナムというモデルがあり、これはアニメ「ルパン三世」の中で次元大介が愛用している銃でもある。
最近のルパン本人は愛用銃をワルサーP38からジェームス・ボンドと同様にワルサーP99に変えてしまったようであるが、次元はM19のままで通しているのが嬉しい(それにしても彼らの歳、一体いくつなのだろう???)

さて、M10であるが、これもルパン以上にロング・ランナーの現役選手である。長らく現役ということはそれだけ普及しているということであり、事実、軍用・警察用として大量に出回っている。日本においても、ニューナンブM60が国産化されるまでは、警察・鉄道公安等に供与されていた。

また、これは今聞くと信じがたいと思われる方も多いだろうが、映画「若き日の次郎長/東海の顔役」(1960年東映/監督:マキノ雅弘/主演:中村(萬屋)錦之助)では、実銃のM10が使用されている。
当時はまだおおらかな時代で、日活アクション映画でもしばしば実銃の拳銃を使って国内で撮影されていた。「第三波止場の決闘」(1960年)の三橋達也も実銃を使用している。
第一、日活アクション第一号である「俺の拳銃は素早い」(1954年/監督:野口博志)の製作には、なんと撮影のために警視庁が拳銃を貸し出している。今では1000%考えられないことだ。
しかし、警視庁の貸し出し拳銃は数に限りがあったため、しばらくして、しかたなくステージガン(撮影用模造拳銃)を映画製作者が作ったそうだ(鈴木清順著「花地獄」1972年北冬書房発行)。
許されることではないのだが、「早射ち野郎」(1961年日活)では宍戸錠が米国から持ち帰った私物(笑)の6連発リボルバーを堂々と撮影に使用したりもしていた。
しかし、こうした無法時代(笑)が長く続く訳がなく、1965年には石原裕次郎、本郷功次郎、大藪春彦、平尾昌晃、桑田次郎、大鵬、柏戸らの著名人が拳銃不法所持の疑いでマスコミをにぎわせた。1966年には小林旭も撮影にこれまた私物(笑)の拳銃を使用していたとして取調べを受けている。
その際に、警視庁が過去に実銃を貸与していた事実が明るみに出て、大騒ぎになったという。なんともオソロシイ話ではないか。お巡りさんが聞いたら怒りそうな話で恐縮だが、実銃を貸していたのは本庁のお巡りさん。江夏豊がS&Wのセンティニアルを隠し持っていて検挙されたずっと後の時代と違い、戦後〜1960年代は「有名人は誰でも拳銃一丁」「警察からも拳銃借りれます」の感がある。今思うととんでもない時代だ。
しかし、敗戦で米軍に日本が武装解除される以前は、日本国内でも簡単な手続きで誰もが自由に拳銃所持ができたことを知る人は少ない。

M10に話を戻そう。
M10は現在もKフレームの主流であり、バレル長は以下のものがある。
2インチ(51mm)
4インチ(102mm)
3インチ(77mm)ブルバレル
4インチ(102mm)ブルバレル
その他にも、軽合金フレームのM12(2in/4in)、.357マグナムのM13(3in/4in)が存在する。

<FBIのM10>
M10のラインナップのうち、FBIが使用した戦後3インチ・ブルバレル・ラウンドグリップのものは俗に「FBIスペシャル」などと呼ばれている。
FBIの武器携帯は、1935年のFBI再編からだが、1937年にはすでにM13やM10が使用されていた。
戦後は1950〜60年代にM10がパンケーキ型ホルスターと共に愛用されていたが、近年は一般警察と同様FBIにおいてもオートマチック拳銃への代替が進んでいるようである。

コクサイ製M10ガスガン <トイガンについて>
(3インチモデル)
口  径:6mmBB
全  長:207mm
銃身長:3インチ・ブルバレル・モデル
重  量:540g(カートリッジ装填時)
初 速:52m/sec-0.27J(弾丸0.2gBB)

トイガンのガス・リボルバーのライブ・カートリッジにも幾多の歴史がある。
1986年にはコクサイNフレームM29-.44マグナムが「実弾発射機能がある」としてマスコミに叩かれ、当局の摘発を受けた。
これを受けて、1989年には各社がシリンダーにインサートを入れて自主規制を開始した。
コクサイ製ライブ・カートリッジ・リボルバーには、今でも根強いファン層が存在し、「リボルバーのコクサイ」の面目躍如である。
マニア受けする製品をよくコクサイはリリースする。

クリックすると大きくなります コクサイのリボルバーの優れている点は、モデルガンにおいてもその「作動性」にある。
かつて天下のMGCやCMCでさえ、ダブルアクション・リボルバーはトリガーを勢いよく「ガク引き」しないとシリンダーが定位置まで回転しなかった。実銃の世界ではあり得ないことだ。
これに対して、コクサイのダブルアクション・リボルバーはダブルアクションでトリガーをじわじわと引いていくと、実銃同様にシリンダーが定位置まで回転し、きちんとシリンダー・ノッチの溝にシリンダー・ストップがカチリとはまってシリンダーが止まる。その後、ハンマーが落ちるのである。この正しい作動を再現しているのはモデルガン製品ではコクサイ製のみだったのだ。このエアガンM10においても、その作動はきちんと再現されている。
ただし、可動インナーバレルの後端外付けボスがシリンダー先端に可動して密着性を保つという、このガス・リボルバー独特の機構が、極めてその部分の耐久性を下げる結果を招いている。撃っているうちにそのボス部分が破損して銃自体が全く使えなくなるというトラブルは、コクサイM10ユーザーに喧伝されているところの話だ。
また、ガス漏れも起きやすい。単純にバルブ周りのテンション、シーリングの問題と推測されるが、このトイガン自体が絶版なので、改良パーツの入手も困難であり、パーツの耐久性と共にこの銃が抱える厄介な問題となっている。
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フレーム右側のS&Wのロゴはロヤリティーの問題からか、S&Wオリジナルの刻印ではなく、コクサイの正式名「国際産業」をもじった「KS」のオリジナル・ロゴが刻印されている。「TRADE MARK KOKUSAI IND.CO.」と入っており有名なコクサイのマークなのだが、ちょっと見がS&Wにそっくりなのはご愛嬌。
右側シリンダー下部のフレームには
「MADE BY KOKUSAI MARCAS REGISTRADAS SMITH & WESSON SPRINGFIELD, MASS」
と刻印されている。

クリックすると大きくなります 初速は・・・計ってて嫌になってきた。カートリッジによって、てんでバラバラなのだ。
それでも平均すると、0.2gBB使用で52m/secだ。夏場でだ。しかも、固定式ホップがきついようで若干上に上がる。試しにミニ電動ガン用0.12g弾で撃ってみると・・・数メートル先から何かに引っ張られるように天に向かって90度上昇する。オモロイ(^_^)
マルイ製0.29精密弾で撃ってみると、ゆっくりとだが素直な弾道。しかし、まだ曲がる・・・。ひょっとして・・・・オーバー0.3g弾で撃つ。どうにか地面と水平に飛んでいった。試しにダンボール箱を撃ったら、ことごとく跳ね返された。深くへこみさえしない。ほのぼの系だ(笑)


クリックすると大きくなります 金属製のカートリッジにも問題がある。
コクサイのライブ・カートリッジはいくつかの世代バージョンがあるのだが、私のM10のものはその中でも一番評判のよくないバージョンのようだ。
何しろ、撃っていると、カート前部のゴムパッキンはズレて飛び出し、シリンダーが回らなくなるし、カート内インサートの真鍮パイプも飛び出してきてしまうという代物。
さらに、ゴムパッキンが一発ごとに微妙にクセがついているので、抜弾力・保持力に差が出て、発射するたびに弾速がまったく違うのである。60m/sec近くでBB弾が飛ぶカートもあれば、42m/secしか出ないカートもある。「カート命」といったエアガンのような気がする。

クリックすると大きくなります でもお気に入り。何と言ってもM10。腐ってもM10。ひょろひょろ弾のエアガンでもM10。
海外ではS&WのKフレームマニアが多く、中にはM10オタクと呼べるほどM10ミリタリーポリスにハマっている人たちもいるくらいだ。日本国内でも、Kフレームを愛好する人は、単なるオタクの域を超えて、造詣の深いS&W研究家となっている方が結構存在する。
私にとっても、コクサイM10は「絶版だから所有する」という数寄者趣味ではなく、連綿と続く実銃S&W M10のハードボイルドな雰囲気を楽しむマイ・フェイバリットとして、いぶし銀のような光沢を放つものなのだ。
こいつを丸いウッド・テーブルの上に無造作に転がしたまま、足をテーブルに放り投げ、J.T.S.ブラウンのバーボンを傾けながらショートホープに68年製ジッポーで火をつける。
そんな男の夜のシチュエーションには、こいつがぴったりだ。
(でも、これってモデルガンの楽しみ方だよなぁ)
しかし、これでいいのだ。ストイックなタフガイにはM10がお似合いなのさ(^_^;)

(Apr,19.2003:by 元木正太)
ガンモ所有のトイガン