ステアーSSG69 (≒マルゼンAPS-2/EX)   マルゼン
エア・コッキング
ssg01
ssg02 このページの本文は2003年1月15日にWeb上にアップしたオリジナル・テキストです。
<実銃について>
口  径:7.62mm×51mm 旧NATO弾(.308)
全  長:1,140mm
銃身長:650mm
重  量:4.6kg
初  速:860m/sec

オーストリアの7.62mSSG69(1969)ライフルは極めて精度の高い狙撃銃である。
ファクトリー・ロードの弾薬を使用した場合の銃の要求性能は、一般的に300メートルで一定の集弾をクリアすればよいとされるが、それはこの銃を語るには文字通り大きく的外れだ。
SSG69は、ハンド・ロード弾を使用した場合、射程800mで10発撃った集弾が40cm以内にまとまり、それ以下の距離では殆どピンポイントにまとまると言われている。
しかし、この銃の伝説的ともいえる命中精度を捉えて、「冷間鍛造」と呼ばれる優れた独特の製法による銃身を合成樹脂ストックに自由に浮かせてセットする構造に因るもののみとするのは一面的な捉え方だ。
確かに、銃口が一般的軍用銃に採用される量産性重視のラウンド・クラウンでなく、競技銃と同じターゲット・クラウンであることや、狙った時にブレを生じさせないためにフロートされた太くて重い銃身の存在等を抜きにしてはこの銃の性能を語ることはできない。
だが、この銃の優れた性能の所以はすべてにおいて最新技術の鎧をまとっているからだという思い込みがあるとしたら、それは著しく妥当性を欠いた見解といえる。
なぜならば、この銃の機構はボルトアクション・ライフルで一般的なボルト・ヘッド閉鎖機構ではなく、古典的なリア・ロック機構(マンリッヒャー・ボルトアクション)を採用しているからだ。
また、第一次世界大戦以前に発明された5連ロータリー・マガジンを採用している点もひとつの特徴といえる。
この銃のそうした基本的な構造は、マンリッヒャー・シェナウァー・モデル(1903年)を基礎としており、エンフィールド・ライフルなどもこの構造を採用した。
一般的には、リア・ロック式は撃発するごとに精度が低下していくという構造的欠点が挙げられてはいる。
さらに、この銃は実際にはボルトの前後閉鎖作動が硬いといわれ、それも欠点のリストに加えられてもいる。
だが、「連続で多弾数射撃する必要がない=一発にすべてを託す」というこの銃が使用される場面を勘案するならば、これはまったく欠点の範疇にないと私は考える。
SSGの欠点とされるものは、他の優れた部分でそれを充分にカバーしているといえる。
否、この銃の優れた性能は、タイム・プルーフされた古い機構と精密鍛造銃身やフローティング・ブル・バレル及び化学樹脂のストックの採用といった近代技術を高次元で融合させた結果為し得たものであり、まさに、これこそがSSG69のキャラクタを決定付ける特徴であるのだ。
SSG69の命中精度は現代の狙撃銃に要求される精度を軽くクリアするレベルにある。
射程距離100m前後で、レミントンやウインチェスターの168グレイン(grain = 1/7000ポンド = 0.0648g、1ポンドは453.6g)弾を使用して、5発の集弾は12.7mm以内である。工場生産でないハンドロード弾(発射薬・雷管・弾頭を自分で調合して作る弾)を使うと更に小さな集弾性能となり、まさに伝説の名に恥じない。
SSG69は現在オーストリア軍が採用している他、数カ国の警察や軍で使用されている。日本警察においても採用されているとの情報を得ているが、未確認である。

側面 <トイガンについて>
2002年10月に発売されたマルゼンのAPS-2/EXバージョンである。
このトイガンについては実はよく知らないのだ。
何しろ、マルゼンのエア・コッキングといえば、かつて1984年頃にカート式KG-9を散々サバゲに使っていた記憶が蘇るくらいなもので、出戻り組としては心もとない。
そのKG-9というエアガンは、当初はカート・キャッチャーを排きょう口にベルクロで付けていたが、そのうちカートリッジをチャンバーとして代用するカートレス式がゲーマーによって考案されて静かに普及した。
私も早くから命中率とパワーアップのためにカートレス式に改造したのであるが、ほとんどのゲーマーが外付けのパイプマガジンやフィルム・ケース代用のマガジンで外見を崩す中、私は外見をほとんど崩さないでバレルジャケット内部に自重落下式のマガジンを設置する等のカスタムを施していた。
給弾は銀玉鉄砲のスライド式フタをレシーバー上部に移植したのだが、当時、その銀玉のフタを見た人は大抵が冷ややかな目つきでせせら笑ったものだ。
しかし、だ。時が経てば何のことはない。現在のマルイ電動ガンの多弾数マガジン給弾口はほとんどが銀玉鉄砲のスライド式だ。
話がそれたが、それくらい久しく「使える」コッキング式エアガンに触れていなかったのだ。
しかも、古い話で恐縮だが、往年は狙撃ライフル(ライフリングないけど---笑)といえば、SS-9くらいしか存在しなかった。
時代はエア・コッキングの黎明期からガス・フルオートの時代を経て、電動ガン全盛の現代へと変遷してきた。
そうした歴史の流れの中で、「APSカップ」という独自のスポーツ・カテゴリー競技としてコッキング式エアガンを普及させてきたマルゼンの斯界への貢献度と、電動ガンが席巻する時代の企業としての生き残り戦略は全くもって白眉と言わざるを得ない。
そして、APS-2シリーズは、それまでサバイバル・ゲームの狙撃銃として君臨していたSS-9(スーパー9)の座をそのすぐれた機構とタフネスさで撃墜していくのである。
マルゼンAPS-2は名前こそAPSとしているが、モデルはステアーSSG69であることは周知の事実だ。
デジコン社のターゲット(エアガン)が「トンプソン」と銘打たないように、あるいはキャロットの旧89ライフルが決して「89式小銃」と明言しないように、そこにはオリジナル・商標権の問題がからむのだろう。かつてはモデルガンの世界でもS&Wのマークをデフォルメしたりして商標権に抵触しないように玩具化がなされたりしたものだ。
だが、APS-2はSSG69をモデファイしつつも、玩具銃の分野で独立した機構と魅力で大きな成功を収めているといえる。

側面 <チューン・ナップ>
APS-2のチューンに関しては達人が大勢いらっしゃるので、実力ある先輩方に筆を譲る。
私のはほとんどノーマルに近い箱出し状態である。
手を加えたところは必要最小限の以下の数点だけだ。

1.アタリ出し
機関部の摺り合わせによる摩擦抵抗の軽減を図った。
これによりコッキングに要する力がかなり軽減されている。

2.パワーアップ
所属チームのパワーバランスをとるために、チーム・レギュレーションに合わせたパワーアップを行った。
2-4スプリングをひと巻きずつサンダーでカットして、0.25gBB弾で初速120m/sec未満になるように設定した。

(注)2006年5月4日現在、0.2gBB弾使用時に初速が銃口部で95m/secになるように再調整しています。

理論腔長に関しての考察は、ここでは勘案しなかった。
シリンダを分解する時は、ヘッドが接着されているので、コンロで軽くあぶって、ラジオペンチでヘッドを回すと難なくヘッドを分解できる。
あぶりすぎて、ピストン・カップを溶かさないように注意が必要。
パワーアップの落とし穴として注意すべきことがある。簡単に言えば、標高が高い地域では初速が上がってしまうのだ。使用フィールドに合わせて、海抜0m地点でレギュレーションより目安で5m/sec以上下げるセッティングにすることがパワー・チューンの押さえどころといえる。
富士山の裾野(相模湖・御殿場等)でのゲームや、地方の山間部でのゲーム使用には、オーバーパワーにならないよう十分な配慮が必要だ。

3.ノイズ除去(1)〜(2)
 (1)ストック内部に徹底的にウレタン消音材を貼る。
   これにより、APS特有の例の「ビヨヨ〜ン」というバネ音を吸収できる。
 (2)スプリング・カットによる雑音軽減。

4.ノイズ除去(3)
巷ではソルボセインなる優れた消音シートが出回っているが、ホーム・センターで売っているウレタン・ダンパーでもピストンの打撃音は軽減できる。これをドーナツ型にカットしてピストン・ヘッドの内側のカップが当たる部分に接着剤で貼り付ける。
瞬間接着剤は衝撃に弱いとされるが、ビリヤードのキュー先のタップも瞬間接着剤で固定してブレイク・ショットやマッセに使用してもなんら問題はないので、エアガンのピストンにも使えるだろう。多分、縦方向の衝撃には瞬間接着剤でも耐えられるのではないだろうか。

ダスト・カバー 5.防塵加工
塩ビパイプを整形したダスト・カバーで排きょう口を塞いだ。(写真)⇒
これはゲームで砂塵の侵入を防ぎ、また、伏せたときに草などがシリンダに噛みこむのを防ぐためである。
銃の開口部周辺の寸法に合わせて平板形ゴムパッキンを内側に取り付けてダスト・カバーを銃に密着させ、ピストン打撃音の機関部からの漏れを塞ぐ効果も狙った。
それに銀色のシリンダーによる光の反射もシャットアウトする、まさに一石三丁のお手軽改造。このカバーはゲームで使ってみて、かなり効果あることが判明。
開口部を塞ぐことは雑音の消音にもひと役もふた役も買っているようで、撃発音は「ボッ」という低くて短いものになった。

6.つや消し塗装
ストックとトリガー・ガードをタミヤ・プラカラーのオリーブドラブ・スプレーつや消しで塗装した。まるで別物の軍用銃のようになった。というか、実銃のSSG SPORT(PI)のストックにソックリ。個人的には結構気に入っている。サフェーサーは吹かなかった。
実銃の世界でアサルト・ライフルはハゲたり擦れたりしたクタビレ感が銃の貫禄とも見えるが、狙撃銃は極めて大切に扱われる。このAPSに下地処理なしでハゲやすい塗装をするなんて・・・明らかにリアルさに欠けるし、第一手抜きだよなぁ・・・。折をみて、バッチリ密着性のよい化粧塗装をしてあげることにしよう。

7.偽装
水に浸してよれよれになったバーラップを巻いて、おきまりの偽装をほどこした。スプレーを使ってなじませ、4色にしてある。

迷彩 チューンといっても、今の私のレベルでは、まあ、この程度である。
しかし、エア・コッキング・ガンは非常に奥が深い。
チューン・ナップ・パーツだけで実銃が買えてしまうほど資金を投入する人がいるのもうなずける。
また、高性能の電動ガンが席巻している現代のフィールドにおいて、エア・コッキング・ライフルはアウトレンジからの有巧打を放つというかつての役割は終えている。
なぜならば、標準レギュレーションの場合、電動ガンで十分遠距離を狙い撃ちできるからだ。しかも、セミ・フル切り替えで。1985年当時とはまるで状況は一変している。

こんにち、狙撃用エア・コッキング・ガンをサバイバル・ゲーム・フィールドであえて使う人は、自らイバラの道を選択し、たとえ己に過酷な状況を強いても数値的な勝敗以上のものを求め続ける孤高のタフガイである、と言っても過言ではないだろう。

(Jan,15.2003 : by 元木正太 )



ガンモ所有のトイガン